気になって仕方ないあの店

何が気になるって
優秀な片腕が病に倒れた
フォーの店だ。

ここのところ、"過ぎる"くらいの
混雑振り。

そりゃそうだ。
山ちゃんから繰り出される
フォーのバリエーションが豊富で
美味しいから。

生春巻も
野菜や海老がパンパンで
ぎっしり入っていて
しかもヘルシーで美味しいから。

デザートもコーヒーも
ベトナム仕様でしかも
手を抜いてないし
美味しいから。

「こんにちは~!」で始まり
「ありがとうこざいました。
またよろしくお願います!」

って声をかけられて
この美味しさに悶絶出来る。
行かない訳にはいかないお店だ。
当たり前だ。
混まないはずは無い。
虎ノ門と新橋と御成門の中点
あたりにそれはある。


昼時なんぞ
タイミングが悪ければ
だいぶ待たないと入れない。


そこの美人片腕が
体調を崩して
休んでいるから気になるのだ。

なっちゃん本人の状況も心配だが
この前行ったら
店がとんでもないことになっていた。

食べている間から
わいわいと
店の前が騒がしい。
見ると並んでいる人、人、人。

なっちゃんが居ないし
作るのは山ちゃんだけだ。
大丈夫なのか?
なんなら、皿洗いのボランティアでも
やるよ。」

割と真面目に言ってみたが
答える余裕すらないくらい
山ちゃんはバタバタして
テンパっていた。
本当にテンパり過ぎると
人ってヘラヘラするしかないのか。
真面目な彼は超ヘラヘラしていた。

そんな状況、未だ嘗てない。

なっちゃんと山ちゃんとで
いい感じな"阿吽の呼吸"で
スイスイ美味しいものを
お客様に出して
喜んでもらっているコンビ。

だから、気になって
心配になって
翌日も行ってみた。


「身体が切れそうです」って
愚痴る山ちゃんは初めてだった。

だよな。

たしか、
木の周りをグルグル回った虎は
結果バターになる運命。
ならば、
フォーの準備や作りでアレもコレもな
状況だったなら
やっぱり
切れそうになるだろうな
心も身体も。


行ったら行ったで
彼の切り盛り可能人数を
オーバーしてしまっていたかも
しれないけど、
何か気になって仕方ない。

とにかくなっちゃんの病が
早く治りますように。

で、山ちゃんも病にならないか
心配だから
明日もパトロールをしなきゃ
だよ。

お店を応援したいけど
毎日行くことしか
術が見つからないので。