録画が溜まって断捨離していたら…

「あー、これは絶対消せないわ」

な、掘り出しものが見つかった。

2017年6月13日に放送された
NHK BSプレミアム
『アナザーストーリー』。

古今亭志ん朝の天才っぷりを
存分に楽しめる1本だ。

たった5年で
そうそうたる先輩方を
何人も差し置いて
真打ち昇進。


"親の七光り"って先輩達に
イジメられたんだろうな、って
ただただ同情していたのが
すっかり解消された。
最高の番組だったのだ。


確かに、先輩より先に出世なんか
しちゃったら
「辞退しろ」
と迫られて当然だろう。

だけど志ん朝自身も、
真打披露目に志ん生文楽
十八番『火焔太鼓』と『明烏』を
かけた。

値打ちが無さそうに見えるけど
見る人によって
見方によって
価値はいかようにもなる。

モテなさそうに見えても
実はめちゃくちゃ人気になる。
外面で決めんなよ、って。


覚悟か。


評判だとか、思い込み。
それだけじゃわからない
魅力を秘めたもんだよ、人は。

って志ん朝は言いたかったのかな。
俺は、自分の魅力探しをするぞ、
って。


抜かれて腐ってた先輩方も
負けてる場合じゃないと奮起。
志ん朝の覚悟が
わかったんだな。
その中には談志の存在も。


側から見たら、下克上とかで
落語界ぐちゃぐちゃだね、な
感じだが
結果的には
そのぐちゃぐちゃが
再興のキッカケになっていた。

皆が皆、真似じゃない
独自の自分の良さを
追求していったからこその
"落語人気"に繋がっていったのか。


自分の良さ、か。

志ん生の息子という
最高で最悪な足枷があったからこその
悟りだったのだろう。

それにしても、だ。

テンポが良くて
歯切れが良くて、
父親には無い良さで
志ん朝は上り詰めたのだ。

覚悟と努力と、
それから工夫。


"まずはやってみろ"
って
教わった気がした。

正解が無いもの。
だからこそ
やりがいがあるのだ。


消去できない素敵な歴史が
そこにはあったのだ。


#古今亭志ん朝