とうとう…

畔倉重四郎、お縄になってしまった。

あれだけの悪事を重ねたら
仕方ないわな。
でもさ、
ちょっと殺しすぎだよ、重四郎。

資料館通りを歩きながら
あっちの世界にいるであろう奴に
説教しつつ
帰宅して子供らに

「捕まっちゃったよ、重四郎」

そう伝えた。

家のドアを開けて
開口一番がそれ。

子供らは半笑いで聞いてくる。

「何で捕まっちゃったの?」

ーー人を殺しすぎたから。

「何で殺しちゃったの?」

ーー邪魔だから。

まるで子供らが大岡で
答えるあたしが重四郎みたいな
不思議な感じ。

「邪魔だからって殺したら
そりゃあ捕まって当然だよ」

ーーそうなんだけどねぇ。
何処で歯車が狂ったかなぁ…。


あれれ?
あたしが重四郎かいな。

だが、子供らとそんな
やり取りをしていて
ふと気付いた。


あれだけツラかった
腹の中のトムとジェリー
いつの間にか消えていた。
ピーでもなきゃ、グルグルすらない。


とうとう折り返し地点の
神田阿久鯉と松之丞のくるま読み。

腹痛までをも忘れちゃうくらい
引き込まれる。


要するに
身体にいいんだよ。
講談は。