破りたかったら。

 

どうしてもわからない、

どれだけ考えても答えがでない…

ある問いを抱えていた。

8月末のことだった。

 

ここでわからなかったら

自分はずっとこのままだろうな。

 

これが解けなかったら、

自分を変えられないのは

目に見えている。

一生、この中途半端な状態で

あたしは終わるのだ…

 

そう思って悶々としていたし

焦りまくっていた。

頭の片隅にはいつも

その"形"がチラつくし

しかもそれは、

掴もうとすると

どんどん遠のいていく、そんな

イメージがしてざわざわしていた。

 

そんな時ふと、

講談の『淀五郎』を思い出した。

淀五郎が中村仲蔵に助けを求めたように、

恥をしのんであたしも

解明した人にメールをしてみた。

ずっと考えていてもわからないと

自分で自分に匙を投げて。

 

どうか自分みたいなアホにも

理解出来るように

説明して頂けないか。

時間を作って

頂けないか、と。

 

アホだと思われようが

もうどうでも良かったのだ。

とにかく、その問題を

理解したい、腑に落ちたい。

 

ただそれだけ。

 

 

その人は、

あたしのダサいメール、

不躾なお願いを、

快諾し、忙しいさなか

時間をくださった。

丁寧な説明を聞いているうちに

ハッとした。

図を見ているうちに閃いた。

2次元が3次元になって

目の前に、その立体が浮かび上がった。

 

その時明らかに

フッと、道が拓けて

見えたんだ。

 

気を落ち着かせようと、速攻で

トイレに行った。

用を足しながら

本当に自分が理解出来たか、

もう一度頭の中で逡巡する。

 

腑に落ちる、とはこれか。

 

初めての感触だった。

 

 

わかったと同時に、

以前から心の師に教わってきた事が

ピシッと組み合った。

パズルが音を立てて

寸分の隙も無くね。

 

"我がなす技も

全て我の力にあらず"

 

降ってきた言葉だ。

 

 

 

淀五郎の気持ちが改めて

今日わかった。

今宵の神田松之丞の『淀五郎』が

今回の一連を復習させてくれたのだ。

 

"我がな成す技"、

自分のやっていることは、

"全て我の力にあらず"。

自分の力じゃない、ってことまで教わった。

 

淀五郎だって、周囲から学んで

なんとか形した浅野内匠頭役。

あたしだって、

とうとう自分じゃ答えが出なくて

結局教わって解決したまで。

 

ここまで生きちゃったらさ、

自分自身を

めちゃくちゃ努力したなって

褒めたいだろうが

実は違うのだ。

 

 

今いる自分は

周りからのおかげ。

ってことは、

自分は空っぽの存在でしかないのだ。

今まで生きてきて、

めちゃくちゃいろいろな努力が

詰まっているみたいだけど

詰まっているのは糞ぐらいなもんだよね。

 

やっと

それが実感できた。

わかって楽になったなぁ。

 

殻を破りたきゃ、

恥をかくのが手っ取り早い、って

中村仲蔵が言ってたな。

『淀五郎』の講談は、本当だったよ。

カッコつけないで

助けて!って言って良かった。

 

自分一人で生きているんじゃないもんね。