今までネズミだったヤツが、突然トラ扱いされる時と、そのきっかけについて。

周りから

ネズミだネズミだって
馬鹿にされていたのに
突然トラまで格上げされ
賞賛の的となる人って
何がきっかけなのか。

何でそうなれるのか、を
今日は講談と浪曲から
勉強させてもらった。


"天保水滸伝"から
『笹川の花会』。


江戸末期に千葉県で実際に
起こった
ヤクザの抗争が元ネタで、
これを芸術にしたのが
講談のそれだ。


笹川繁蔵と飯岡助五郎。
実在したヤクザの親分。

この二人を中心とする
全7話から出来ている。
今回は、この中の
第4話。
これを聞いているだけで
人としての格って何かが
自然に入ってくるのだ。
人として認められ、
好かれる生き方が。



花会(チャリティー博打大会)って
全国の親分が勢ぞろいする一大
イベントがあったらしい。

誰がいくら寄付したか、という
募金代があからさまな
博打付きヤクザの親分総会に
欠席するは、
募金代は少ないは、じゃ
対馬鹿にされるでしょ。


その馬鹿にされるであろう親分とは
助五郎。
自分で参加せず
代理人を行かせて、
しかもめちゃくちゃ安い額しか
包まないときた。


普通は、募金を受付に出すのが筋。
だがホストである親分繁蔵は
直接、助五郎の代理人から
募金袋をもらうのだ。
そして、貼り出された紙には
入っていた金額を10倍にして
書いた。
誰に知られることもなく。



敵対する親分、助五郎の面子と
代理人の立場を
汚さぬようにしたのだ。


元々繁蔵は
ネズミだと思われていた。
中途のヤクザだし
子分も少ない。

だがホスト役の繁蔵は、
この一件で、
敵対する組の組員からも
尊敬される存在となったのだ。


だって代理で参加していた
部下からしたら
見に余る配慮だと思う。
ありがとう、だよね。

恥ずかしい額しか入っていないと
痛感していたのだから。


欠席などとは失礼過ぎると
周りの親分衆から
攻撃されると思いきや
金額のおかげで、
返って、"良く来てくれた"と
感謝される始末。


人として、他人のプライドは
絶対に傷をつけたらいけない、って
ことだな。

「アイツ、めちゃくちゃセコいヤツ
なんだぜ!」

言いふらすことなんかせず
対決は、正々堂々と
勝負するのが
人としての道、だと。


講談は、神田愛山先生、と
もちろん神田松之丞さん。

浪曲は、玉川太福さん。

まさか一日で2席も
同じ話を聞けるとは。

それだけ大事なことなのだ。


金、地位、学歴…



ネズミだったのがトラだと
認められるターニングポイントは、
どうもこれらではないらしいと
わかった。

他人の面子を保てるか
否か。


俺が俺が
じゃなくて
一番大事なことに
気がまわるかどうか、か。
人、なんだよな。
やっぱり。

それを
確認された一日だった。

ちゃんとわかってるか?
ってね。