ありがとね。

 

 

ポストを開けた瞬間、郵便物を取り損ねて

パラパラと足元に舞い落ちたその中に…

一番欲しくないハガキを見つけてしまった。

 

この時期増える年賀欠礼

差し出し人はまさかの元同僚の奥様の名前。

もう嫌な予感しかしない。

しかもそれが一番上でこちらを向いて落ちていて…

足元にありながらそのハガキの文字が

はっきりと読めてしまったのだ。

近眼なのに。

 

一瞬固まって、

やっぱりか…と。

癌治療をしながら仕事も頑張っていた元同僚が

今年亡くなっていたことを知った。

まだ52歳。

 

彼が治療入院している間は

サポートで彼のPCを開いて

見積りやプレゼン資料やらをクライアントに

代行提出したりした。

だけども彼のサポートは本当に本当に楽だった。

先の先を見越して既に資料は出来上がっていたし、

入院中なのに、ケータイでちょこちょこ電話を

入れてきて、進捗を確認してくれるから。

「どんな風に出来たか見たいからスクショして」と

言うから、その度に届いたお菓子や変なものを写真で送ると「何それ!」と笑ってくれたり、

ああでもないこうでもないと指示してくるのを「細かい男だねぇ〜」と笑い合ったり。

そう言えばずっと笑いながら仕事をしていたなぁ、

彼とは。

 

退職する日に「死ぬなよ」と伝えると

「本当にいなくなっちゃうの?やだ〜

本当に?もう来ないの?本当に?」って

何度も何度も言ってきて…。

 

その言葉を今あたしが彼に伝えたい。

本当にいなくなっちゃったの?って。

 

直接別れが言えなかったなぁと思ったけれど

今この時に知らせが届いたことに意味がある、と

ふと思った。あたしの心が決まったこの時期に

「やるべき選択肢の優先順位を考え直せ!

いついなくなるかわからないんだよ!

明日死ぬかもしれないんだよ!」って

そう言われた気がしたのだ。

 

ありがとね。

やるね、ひらちゃん。

 

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