ブラックスライドマントラ経由で。

 

 

札幌の大通り公園に

御影石の大きな滑り台がある。

 

イサム・ノグチが作った

「ブラックスライドマントラ」という名の

滑り台形彫刻作品だ。

 

子供達は、

それが有名な作品であろうがなかろうが

そんなことは知らぬ存ぜぬで、

元気に滑って遊ぶのみ。

無邪気に。

何度も何度も登っては滑り、

余計につるつるになった

石の螺旋状の滑り台はきっと

永遠に遊んでいられる気がするんじゃ

ないだろうか。

 

マントラとは、

文字、言葉、祈りを意味する。

 

イサム・ノグチの作品を見ていると

"どう伝えるか"のバリエーションの豊富さに

感嘆させられる。

言葉の代わりに石を使い、

どれだけ追求し工夫したのか、と。

 

この大通り公園がどうなっていたら

人も地球も幸せを感じるか。

 

彼が目指したのは

子供達の歓声を絶やさぬことと、

永遠に石と、

地球と楽しむことを忘れないでね、と

いうことだった気がするのだ。

だから、

子供のお尻で完成させる、

滑って昇華する芸術にしたのではないか。

 

 

人の役に立つこと。

そして、地球と調和すること。

憧れる生き方を

ブラックスライドマントラから

見つけてしまった。

 

 

イサム・ノグチの遺灰の一部が

工房があった四国高松の牟礼の山の上の

丸い石の中にあるそうだ。

 

弟子の和泉さんが

そうしてあげたのだと知った。

 

"二重の国籍をもち

二重の育てられ方をした私にとって

安住の地はどこだったのか"と

己のアイデンティティを探し求めた84年。

石の声を聞いて

石と共に生きて

石に帰ったイサム・ノグチ

 

自らの問いに

生き様で回答するなんて

カッコ良すぎるよ。

 

 

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