ガラポン。

 

 

ぐるぐるっと

ガラポンのハンドルを回す。

 

ペッと箱が、玉を吐き出す。

 

ころんと、出た色は大概

赤玉で、係のおじさんから

 

「残念〜!」

 

と言われて退席を促される。

 

もらったティッシュを見ながら

残念なものなのか…これは、と

目を落とし、こそこそと

急いでカバンにしまうんだ。

 

まるで自分自身が"残念な人"と言われた錯覚。

恥ずかしさを飲み込みながらも

平静を装ってなんなら(ずっと前から

あたしこれ、めちゃくちゃ欲しかったんだ)

って大丈夫な振りを演じながら、

そそくさとくじ引きの席を離れる。

 

わくわくするはずのガラポンが

残念賞が続きすぎて

だいぶ嫌いになっていた。

だってどうせティッシュだから。

だってどうせ残念だから。

からの、あたしって残念な人間だし…と

負の連鎖。

 

ガラポン如きでここまで凹めるのは

相当病んでいたに違いない。

 

残念賞でもらったものは

いろいろあって、

ティッシュだったり、

商店街ではラップだったり。

その場その土地でさまざまだけど

確かに、一等賞に比べれば

単価は安いものになる。

なーんだ、って思うものが多い。

 

だけど、その残念賞。

横の席の子が鼻血を出して

たまたまポケットに入っていた

残念賞ティッシュのおかげで

その子と不思議な縁を貰い、

なんと四半世紀も友達でいたりするから

面白い。

 

ラップだって、無くなった時には

おかずも温められないしね。

あの時「残念!」と言われて

自分もそう決めつけていたものが

活かされて、おかずが美味しく温まる。

後々考えると全然残念じゃないって

気づくんだ。

 

その時は、他人の評価で

残念にしか思えないもの。

だけど、待てよ。

活かせるタイミングがくるから

それがあたしの元にやってきた。

それをどう活かせるか。

 

自分次第じゃないか。

 

それをむしろ楽しみにする。

他人の決めつけを鵜呑みにすんな、って

ガラポン如きが教えてくれた。

 

たかがガラポン。

されどガラポン。

あゝ、またティッシュだったよ。

やったね!

 

ハズレくじ?

いや、当たりくじだ、これ。

 

f:id:tamasapuri:20210708115050j:image

 

残念だって思っているなら

どこで活かす?

タイミングを狙ってやれよ、自分。