見ればわかる。

 

目覚めると、

棺の中で

お花に埋もれて笑顔で逝った

あの子が瞼に、いた。

 

そうか。

そういえばあたしは

あの子に告別し、

帰宅した途端

眠くて眠くて耐えられなくて

昼寝をしてしまっていたのだ。

 

夢を見ていたんだな。

 

決して派手ではないけれど

穏やかで

そこにいるだけで

周りをほっこりさせる

彼女だった。

 

きっちりと生きてきたのは

彼女の子供達の姿や

彼女の旦那の言葉から

明らかでね。

一緒に

この時代を生きてきた同志として

お疲れ様…なんて声をかけようかと

ふと見た彼女の死顔に

ハッとした。

 

病気と闘い

疲れ果てた顔じゃないのだ。

 

これからも、この先

別の場所でやることがあって、

まだまだ休んでなんか

いられないんだよ。

きっちり魂の

使命を果たすのだ、という

キラキラした意志が漲っている

きっぱりとした死顔に見えたのだ。

 

キラキラな死顔。

初めての感覚。

 

「またね」で居なくなった

彼女らしい。

 

"次は何だ。

何をしよう。"

 

そんな彼女に触発されて

わくわくしながら空を

ふと見たら…

 

f:id:tamasapuri:20200309204438j:image

 

明日の満月に繋がる

キラキラな明るい月が出ていた。

 

まだまだコンプリートではない。

途中経過を楽しめばいいのだ。

次、次って

諦めずに先に進めばいいのだ。

彼女の死顔に、教わった。

 

生きていた時よりも

ずっとずっと近くにいる気がして

だらけている場合じゃないな、と

背筋が伸びた。

 

またね。

千夏。