何か欲しいものはないか?

海上に現れた弁財天様に
そう問われて、

「この世に欲しいものはない。
ただ、道心をください」

と、仰った弘法大師

道心とは、
向上心を意味する言葉である。


…という話を
心の師に学んだ。


単純なあたしは
それ以来、
パブロフの犬のように
橋を渡る時には

「道心をください」と
言ってみる。

水を見たら
言ってみる。

お大師様になったつもりで
言ってみる。

果たして今まで、
言ってどうなったか、を
ここで報告するようなことは
何もなかった。
ただ、唱えて橋を渡っていただけ。


だけどさっき、もくもくと
"無くすこと"
という言葉が浮かんできた。


向上心って言うと
誰にも負けない最強な
学歴や、名誉や、お金持ちの
トップを目指すための術という
イメージだった。
要するに、比較する相手あってな
向上心だと。
今日の今日まで、そう認識していた。


今日は違った。
橋を渡りきる寸前に
"無くすことだ"、と勝手に
そう確信した。

向上心とは
他人と比較して抜きに出るための
パワーじゃない。

反対だ。
相手じゃなく、自分に向けての
言葉だったのではないか。

自分とは何か、
それを追求するために
向上心はあるのだと。

向上心を使って成し遂げることは
真我の見抜くこと。
ふと、そんなイメージが
勝手に湧いてきた。



無くす、か。