ツイッターで。

今日だったか。
向田邦子さんの命日は。


有り難い呟きをしてくれた方が
いてくれたおかげで
こんな向田邦子さんに出会えた。

『手袋をさがす』
というエッセーから。

"私はひと冬を手袋なしで
すごしたことがあります。
気に入らないものをはめるくらいなら、
はめないほうが気持ちがいい、と
考えていたようです。

(中略)

その晩私は歩き続けて考える。
私は何をしたいのか。
私は何に向いているのか。
ただ漠然と、
今のままではいやだ、
何かしっくりしない、
と身に過ぎる見果てぬ夢と、
爪先立ちしてもなお
手のとどかない現実に
腹を立てていたのです。"


向田さんのこの文章。
抜き書きしているだけで
泣きそうになる。


「今のままではいやだ。」
って、毎日毎日
心や身体がそう言っているのに
じゃあ、っていいタイミングで
次の石が見つからない。
ボルダリングしていて
カラフルな石や岩の
突起を掴んで、
その先へ先へと行きたくても
ホールドが見つからない感じなのだ。

何かしら掴めたら
身体中の力を振り絞って
自分の力で登っていく覚悟は
出来ている。
今すぐにでも
大汗かいて頑張るよ。


だから、その兆しを絶対
見逃さないようにと、
いいメガネでクリアな視界を確保し、
流れを見据えてやろうと、
昨日買っちゃったのだ。
妥協なく、思い切って
気に入ったメガネをね。


台湾に行かれた際の
「向田です。」な留守番。
スマートでサバサバした声が
好きだ。
きっと手袋を探しに行かれたのだろう。

ちゃんと悩んで、
もがいて苦しんで、
こんな正直なエッセーを
残してくれたおかげで
何だかふわふわ力が抜けた。


"いまだに「手袋を探している」"

"そんな生き方を少し誇りに
思ってもいる"

このエッセーは46歳の時に
書かれたものだそうだ。


そうか、あたしがまだ手袋探しを
していても恥ずかしいことじゃ
ないのか。
きっと向田邦子さんは、
妥協なんか絶対しないで
今も手袋を探している気がする。



自分の生き方を
誇りに思い、
とことん気に入った手袋を
探そうと決心した。

なんかワクワクしてきたよ。

#向田邦子
#手袋をさがす