神宮前の仏師。

チューニングが合わない。

自身の気と周りとの。
まあいろいろあるわな、
生きていると。

好きなmaya maxxの絵が
神宮前のboy Tokyoに有るという。
ガラスごしに、通りがかりに
見られるという。



あたしの感覚がそこに行きたいって
言うもんだから
朝っぱらから向かった先は
会社じゃない。
神宮前の2丁目だ。


ガラスごしに絵が見られたら
会社に行って仕事でも…と
思っていた。
パワーをもらい
集中出来るな、と。


フルオープンで緑が清々しい
サロンだ。
片隅にmaya maxxの絵があるはず、
なんてウロウロ。

無いから聞いてみるか、って
開店していないのに
店に入った。

笑顔のお姉さん曰く
日光に当たると絵に良くないから
片付けてあります、と。

期待に反した答えを頂きながらも
帰る気がしないのは
店内にある、なんとも言えない
快適さと溌剌たる空気だ。
そこにいる人たちの気だ。


予約していないが散髪を頼めないか
聞いてみたら即OKとのこと。
で、座って待つと
いい顔で、しかもいい香りの方が
ついてくださった。

「何をしてるの?」

職業を聞かれ
maya maxxについて聞かれ
そのあとは、ただもう
不思議なほど集中して
ハサミを見ていた。

「散髪とカラーをお願いします」
以外何も言わずに切ってもらっている。

が、あたしってこんな感じに
なれるんだ、って
初めてワクワクした散髪だった。
鏡に映るのは
見たこともない
かなりイケてる自分。

思い出したことがある。
円空という仏師のことだ。
切ってもらいながら円空のことを
考えていた。

木と対話をし
木の癖を活かし
木の魅力を存分に引き出す
仏師。


円空は木とノミで
人を癒す仏を彫り出す。
木の中に既にいる
仏様を表に出してやる、って
イメージで掘り上げる。


ふと我に返った。

みんながあたしの散髪をして
くれている人を
「茂木さん」って
呼んでたな。


茂木正行という人。


あたしの中から新たなあたしを
ハサミで掘り起こして
見せてくれた。
その笑顔がなんとも
円空仏のようで。



神宮前には
凄い仏師がいた。

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#boy tokyo
#maya maxx