そうか、その為か。

三本で締めた畔倉重四郎。

昨日の夜だったはずなのに
もう凄い昔に感じる。

5日間、狂ったように
畔倉重四郎の悪事を
一緒に巡ってきたけれど、
今なおあたしの頭から離れないのは
城富だ。


重四郎に濡れ衣を着せられた
親父をもつ城富。

例えば
獄門に処された親父を思い
盲目なのに千住にいき
親父のものだと言われる
晒し首をもらってくる。


例えば
親父の濡れ衣を
大岡越前守に進言するし
もし真犯人が見つかったら
大岡の首をもらう約束まで
取り付ける。


例えば
按摩の仕事中、老中安藤対馬守に
親父の災難を愚痴り
捜査の為に老中と大黒屋に行く。
そこで遊女おふみと出会い
夫婦になるし
おふみの話から事件は解決へと
急展開する。


例えば
江戸小伝馬町界隈が火事に
なった時、
火事のおかげで牢屋の重四郎が
逃げられたら困ると
盲目なのに現場に急行し
重四郎を探そうとする。


畔倉重四郎の話を
ここまで盛り上げてくれるのは
城富の存在だと思う。

親父の汚名を晴らすため
徹底して行動しているのだ。
気持ち悪いくらいに。

もし城富が諦めていたら
5日間も続く
連続読みにはならなかったような
気がしてならない。


ハンデを感じさせない
行動力と、偶然の重なり。
城富が会社員だった
知らないうちに
クライアント上層部と
コネを作ったりして、
めくるめく結果を残す気がするなぁ。
怖いなぁ。

だけど
ブレな過ぎる。
だからこそ
天がちゃんと味方してくれるのか。



今回この講談に出会えた意味が
わかったんだ。


しつこく、諦めず
気持ち悪くても
とことんやれって。


それか。

にしてもだ。
神田松之丞講談の
活きの良さのせいだよ。

じゃなきゃ
ここまで考えない。


#神田松之丞
#畔倉重四郎
#城富