ありがとう、を言う相手。

風呂から上がって扉を閉めたら
突然に
シャワーから

たたたたたたーっ。


水が突然に、落ちてきた。
追っかけてきた。

(遅漏じゃないんだからさ)

と、背中ごしに
シャワーに突っ込んだ途端だ。

それって
あたし、じゃないか。
でも、だからなんなんだよ。
いいじゃないか。

と、そう思った。

思えば、
タイミングよく
発射出来てないもんな、
人生のいろいろを。

ってね。


そしたら突然、

"ついに時はきた
昨日までは序章の序章で
飛ばし読みでいいから
ここからが 僕だよ"

RADWIMPSの野田さんの詩が
頭をよぎった。


「ほんと、長い序章だったよな」

「だからなんだよ、いいじゃないか。
あたしはあたしなんだよ」

「何をどうするよ。これから」

「経験と知識と、カビのはえかかった
勇気を持って、いまだかつてない
スピードでいくよ、あたしは」

「それって、野田さんの
丸パクリじゃねーか。
でも、わかったよ。
オマエのあがきを
いつか消えてなくなる
オマエの全てを
この目に焼き付けといてやるよ」


今日の松之丞の中村仲蔵のおかげで
かなり遅漏気味ではあるが
自分の中に降ってきた思いだ。
自分の中で、誰かが応援して
くれているのがわかった。

うん。
なんか、ちょっとだけど
わかったんだ。


最後に笑いたい?
泣きたい?

何をぬるいことぬかしてんだよ。

一番好きな"ありがとう"って言葉。
最期の最期に
自分自身に言ってやってから
逝かれるような
そんな風に生きなきゃ
あたしがかわいそうだよな。


さっきまで自分と会話して
思った。

「あんたのおかげで
面白い人生だったよ、ありがとね」

なんてことをあたしに言ったら
きっとこう言うだろうな。

「やっと発射出来たな」

って。

そういえば
さっきの
野田洋次郎さんの歌の題名は
"スパークル"。

閃光、煌めき、活気、火花。
そして"輝き"って意味があるのか。

"ここからが僕だよ"