最短コースでゴールに到達するって
無駄が無くてカッコいいと思っていた。
心底そうなりたいと憧れて憧れて…。
過去お会いした"出来る人"って、
最速で一挙に処理が出来て、
気づいたら仕事が全て完了している
マルチタスク機能を持ち合わせていたし。
そんな自分の姿をイメージしながらあたしは、
目的に向かって何と何を一緒にやれば
早く片付くか、いつも頭の中で
シュミレーションしていた。
仕事と家事と子育てと。
これをしながらあれをすれば
時間の短縮になるな…って。
これを作りながらあれも作れば、と
そんな計算ばかりしていた。
だけど、自分に合わないことをして
頑張ったりするから体調にくるんだと
やっと身に染みた。
今おかげ様であたしにその機能は
不要だと気付いたし、
しかも
納期のある仕事をしていないから
時間は潤沢に使える。
期限があるのは命以外ない気がするし。
今すべきは
この太陽の輝きを存分に楽しむこと。
鳥の鳴き声を堪能し
空気を深く吸い込んで
なるべく遠回りして帰るんだ。
ちょっと昔じゃ考えられない
贅沢な生活。
真っ直ぐ行かずに
ワザと迂回。
キョロキョロ歩くと…
や、
に、出会える楽しみ。
"花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かれど
風も吹くなり
雲も光るなり"
林芙美子の言葉がふと。
そう言えば、自分は
仮面浪人してみたりと、
根っからの遠回り人生だったはず。
もともと遠回りが性に合っていた訳。
無理矢理最短コースに
軌道修正しようなんて
自分を理解してなさ過ぎの暴挙だ。
確かに"花のいのち"はみじかいし、
これから先も読めないミステリー。
あとどれくらいかわからないからこそ、
今、周りを楽しもうと決めた。
だって今日も
いい風が吹いててさ。