ちょうどいい距離感とは。

 

夕飯のしたくをしていた時だ。

玄関のベルが鳴った。

 

来客確認画面に誰も映っていないって事は

エントランスじゃなく、

もろ玄関先からだ。

 

ドアホン越しに返事をすると

お隣さんだった。

 

明日引っ越しをするので

お騒がせすることになるかと思います。

いろいろありがとうございました…

 

そう言ってたよ。

慌てて扉を開けて応対した相方が、

頂いたクッキーボックスを

戻りしな、テーブルに置きながら言った。

 

おじさんで、一人暮らしらしいこと。

終日ほとんど姿が見えないこと。

表札が無く、名前もわからず、

コミュニケーションがまるでなかったこと。

ましてやコロナ禍。

お互い無理矢理

引きこもっていたかもしれない。

 

そんな感じで夕飯時は

家族で、お隣さんについての

それぞれ持ち得るピースを

あれこれ繋ぎ合わせながら

こんな人だったのかも、

あんな人だったんじゃないか、と

エアパズルをやってみたんだ。

 

それにしても希薄。

最後の最後まで

おぼろげなお隣さんの姿しか

浮かび上がってこない。

 

自分自身の近所付き合いについて、

距離の取り方について、

ちょっと考えさせられた。

 

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スタートがちゃんときれていないと

その後ズルズルになってしまって

とうとうお別れ…な淋しい現状。

かと言って、どこまで踏み込んで

良いのやら…

 

もしかしたら

面白い人だったかもしれないな。

 

くまさんの箱のクッキーを眺めながら

"後悔先に立たず"

言葉が浮かんだ。

 

こんなにかわいいクッキーを

どんな気持ちで買ってくれたのだろう。

 

お隣さんの

新天地でのご多幸を…

心からお祈りしてます。