グレーゾーン。

 

昨日だったか。

神田伯山先生の

『グレーゾーン』が伯山TVで配信に。

 

封印されたネタだから、

もう聞くことが出来ないと

半ば諦めていたところの朗報に

信じられない気持ちだった。

しかもそれが、

2011年、2016年、2020年と時系列で

比較しながら楽しめるのだ。

おかげで今日は

贅沢な一日を過ごすことが出来た。

 

『グレーゾーン』の内容については

YouTubeで確認出来るので、

詳しくは省くけど、

今このネタを聞くことの意味。

強烈過ぎて、

普通に感動をたらたらと

書いてはいけない気がしたのだ。

 

プロレスの八百長暴露本に人生が狂わされ

嫌気がさした、吉田誠少年。

角界で唯一キレイな相撲をとる大乃国に憧れて

自分は落語家、瀧川鮒八になると決意。

新作落語で百年に一度の落語家と

大称賛される瀧川鮒八師匠が笑点に。

ここぞとばかりに真剣勝負を挑もうとするが、

笑点に台本は勿論存在していた。

納得がいかない鮒八は、

自分の"大乃国"精神を

とことん貫こうとするが叶わない。

台本通りの鮒八は、メディアによって

人気がうなぎ登りとなる。

果ては、

病の少女すらも勇気づける違和感に

戸惑いを隠せない鮒八。

そこに、高校時代からの親友

柿本に「笑点に台本なんか無いよね?」と…。

 

その時鮒八は

笑点に台本なんかある訳ない」と

親友からの疑惑を嘘で跳ね除けるのだ。

 

信頼してくれている親友への想いを

嘘で返すことに切なさはきっとあっただろう。

が、テレビ番組も映画も

あらゆるエンタメが台本を基に視聴者を

騙し=楽しませて、成り立っている世界である。

騙し、騙されて、いかにその先の笑いや感動に

繋がるか。

 

演者の苦悩と諦めと決意を

あたしはこの「グレーゾーン」で身に沁みた。

 

八百長、台本がまかり通っている世界は、

エンタメだけでは無いはず。

国会中継を見ていても、

ニュースと呼ばれるものだって

本当か否かは…と思うのだ。

 

だが、そんな現況を

騙されて悔しいなんてこれっぽっちも

思わないし、むしろ騙されてやるから

とことん感動させてくれよ、

意味を持たせてくれよ、

くらいに前のめりだ。

 

世の中には(なんだ、台本か)と諦めるには

あまりにも勿体ないくらいに

面白いものがたくさんある。

上澄みを捉えても

その時その時で響いてくるものが

必ずあるはず。

だから、食指が反応したものには

ちゃんと対峙したいのだ。

 

何を信頼できるか、を探すのもいいだろう。

でもあたしは、

何故それが今の自分自身と縁があったか、を

探る方が断然面白い。

 

目の前のそれが

今の自分の感覚とどう化学変化を

起こしてくれるだろうか。

今後の自分の生き方に

どんな気づきとなるか。

 

せっかくの縁あるものを

無駄にするのは忍びない。

 

多分、柿本も

笑点には台本がある、って

一番わかっていたはずだ。

でも、わざわざ電話をかけて

ちゃんと騙されたかったのでは、と

思えてならない。

 

目の前の"大乃国"の真偽にこだわりよりも

何でそれに魅せられるか、

興味津々な今日この頃。

 

何かに悶々としながらも

魅せようと頑張る人を

見ているだけで愛おしくなる。

それだけでも

何かしらのケミストリーがある。

 

 

神田伯山先生の新作講談が

深過ぎて好き過ぎて。

こういう愛の表現の仕方もあるのだな。

 

 

 

 

#神田伯山

#グレーゾーン