鶴乃子みたいだ。

 

 

今宵は渋谷で

瀧川鯉八さんの独演会。

 

気づいた時には満席完売。

でも、どうしても諦めきれずに

お店にキャンセル待ちメールを

入れておいた。

 

当日でも構わない。

直前でも構わない。

もし空きが出たら絶対教えてください、と。

 

かましい依頼を忘れずに、

会場である活版印刷兼カフェの

"LETTER PRESS"さんは

連絡をくださった。

 

薄ピンクとグレーの重ねがお洒落な

鯉八さん。

山羊さん郵便の出囃子からし

ふわふわとした幸せな雰囲気に

満ち満ちてくる。

 

あっという間に4席目。

『新日本風土記』にやられた。

 

鯉八さんはなんであんなに

じさまとばさまが上手いのだろうか。

 

ゴツゴツした手で

ばさまの手を持って

トゲを口で吸ってやり、

ぺっと吐くじさま。

 

構ってくれと駄々をこねるばさまに

「よかよか…」

って。

なだめるような

自らを納得させるような

たわいもないやり取りを見ていて、

鯉八さんの落語が

たわいもないものではないと

気づいた。

 

この、

目の前のこれ

いつものこれ、

ちゃんと見ておこ、って。

ずっと大事にしとこ、って

思わせるんだ。

 

 

新米を食べさせたい人がいるから

米を作る。

一緒に、少しでも長く生きていきたいから

冬は出稼ぎにいく。

 

構って欲しいから

わざとトゲを指に刺す。

 

感動噺でも何でもない。

淡々とした生き様、

ただそれだけ。

でもそれこそが、

究極なんだ。

 

"よかよか"

 

瀧川鯉八という人は、

答えを知っている人だ。

だから天才だと評される。

 

 

福岡に鶴乃子という和菓子がある。

白餡が

ふわっふわなマシュマロに包まれたやつ。

 

それのピンクの方を食べるとね、

いつも鯉八さんを思い出す。

 

ほっぺたが落ちそうになるくらいに

幸せになれるんだな。

ふわっふわに幸せにしてくれる

落語家、瀧川鯉八が好きだ。

 

 

f:id:tamasapuri:20190914000035j:image

 

#瀧川鯉八

#活版落語会

#LETTER PRESS