二度見した車内広告。

眠いのを我慢しながら
車内広告をぼんやりと
見るともなく見ていたんだ。
さっき。
だって、目に何かを映らせないと
寝ちゃうから。

と、そんな時だ。


(えっ?あれっ!?すごっ!!)


バチっと、焦点が定まった車内広告。
ボヤけた目と頭が覚めた、車内広告。


某学習塾の過去問である。

それは、こんな感じだ。

"あなたの今までの人生に
題名をつけるとしたら
何とつけますか?"


ふと、我に返る。
自分の過去にタイトルをつける、とは。

なかなかの難問じゃないか。
齢12歳が、それぞれの記憶を
辿りながら何とつけるのだろうか。
しかも中学入試という
緊張した、
テンションマックスな時に、
自分を冷静にどう振り返るのか。

その姿を想像しただけで
愛おしくてたまらない。

いやしかしだ。
あたしはどうなんだ。

自分の半世紀ほどもある
長い歴史。
しっかりとまずは
振り返られるのか。
振り替えたいよ、あの人の過去と。

でも、そうはいかんな。

あたしはあたしであって
それ以上でも
それ以下でもない。
題名をつけるとは
過去を見つめて
要約して
確定させる、ってこと。

この時期に
この問題に出会うとは。

確定させて
全部忘れず
引き受けて。

で、あたしの人生の
タイトルは…