いつのまにか。

むか~し、昔。
シャンプーの後は
リンスを使うのが普通だった頃の
昭和という時代のお話。

シャンプーが終わると、
桶にお湯を薄くはり
ボトルキャップで
一杯くらい、リンスを計り
桶に入れる。
お湯にぐるぐる溶かして
頭にぶちまけたら
髪にまんべんなく浸透させ
後はお湯で流す。

昔は普通に
そんなことをしていた。


リンス入りとはいえ、
いわゆるお湯をがぶるもんだから
よく、目にリンスが入って
痛い思いをしたものだ。

どこのメーカーのものだか
忘れたが、
レモンのいい匂いがする
リンスがあった。

お湯に溶かしているうちに
なんかレモンジュースのように
思えてきて、
飲みたい衝動と戦っていた。
小さなガキの時代は
すぐ口に入れたくなってたな。


いつからか、リンスは
コンディショナーだの
トリートメントだのって
より長ったらしい
オシャレ言葉にかわった。

いつからか、
キャップなんかで計ることを
しなくなり
お湯に溶かすことすら
しなくなった。


さっき風呂に入っていたら
そんなことをふと
思い出した。


価値観だの
習慣だの
こうじゃなきゃいけないって
思っていたもんは
新たなものに
取って代わられて
静かに
いつのまにか消えてなくなる。


頭を洗いながらしみじみした。

こうじゃなきゃいけない、なんて
そんなものは
ないんじゃないか、と。

あっという間に
変わってしまい
気づいたらもう…


正しいとか、
間違えているって
自分自身で決めるしかない、な。

それがいいんだな。