スタメンを外れて…

 

ウォーターボーイの

徳永さんの姿が目に焼き付いて

離れないのだ。

 

昨日のラグビーの試合後、

皆が「ワンチーム」と、口を揃える

日本チーム。

だが、

試合以上にじーんとして

言葉にならなかったのは

スタメン選手が口々に、

出ない選手やコーチ、

その他支えてくれる人への

感謝の言葉を言っていたこと。

 

自分が言われた訳じゃないのに

めちゃくちゃ嬉しかったのだ。

 

「メンバーから外れた時は

どうしても落ち込みます。」

 

って、そりゃあそうだ。

試合に出る為に辛い練習だって

耐えてきたのだろう。

 

ウォーターボーイだけでなく

練習時、相手チームの選手役をやったり

試合中も冷静な面持ちで

コーチ陣の指示を伝えていたであろう

徳永さんがチラチラ見えた。

もちろん試合直前だって

赤いダミーを持って

練習相手になっていた。

 

 

ラグビーの試合で、

勿論試合も注目するのだが、

それ以上にウォーターボーイに目が

いってしまうのは、

何を隠そう

息子のせいだ。

 

彼は小学生の時から

ラグビーチームにいて

中学でもラグビー部で、

頑張っていた。

が、やはり上には上がいる。

試合でも大概、

交代要員だったし、

たまに出させてもらっても

後半10分くらい。

で、中学生最後の試合では

ウォーターボーイをやっていた。

 

お情けでもいいから、

せめて10分、いや

5分でもいいから

最後の試合に出させて

やってよ、先生…

 

心の中で祈ったが

結局ボールを触る彼を見ることなく

ラグビーを卒業した。

 

後から本人に

ラグビー部の感想を聞いた時

 

"ウォーターボーイも

大事な役だからさ"

 

そう言って笑っていた。

 

当時は、

スタメンになれる子が羨ましかったり

そのご両親がマウントとってくる感じが

疎ましかったりして、

今から思えば情けないくらい

恥ずかしい感情が渦巻いていたっけ。

 

でも、最終戦後の息子の言葉で

自分のダサくていやらしい

真っ黒な気持ちが

クリアに清まったのだ。

 

"大事なウォーターボーイって役を

やれて、皆と一緒にいられて良かった"

 

ってね。

今でも彼にはラグビー部で一緒だった

仲の良い友人が沢山いる。

おかげで、

高校生活を誰よりも満喫しているようだ。

 

 

人には役目が必ずある。

 

 

それ以来だ。

裏方が気になって気になって

応援したくて

仕方がない人間になってしまったのは。

 

物事には必ず

表と裏がある。

 

表は、裏が無ければ

表にはなれない。

裏も、表が無ければ

裏にはなれない訳で。

 

徳永さんをはじめ、

たくさんの支える人が

あの"ワンチーム"っていう

言葉の裏にはいるのだ。

 

表と裏で、やっとひとつ。

 

なんて素敵な言葉なのだ、

"ワンチーム"。

 

#ワンチーム