きっかけ。

 

 

北海道大学の正門に向かう

このあたりを歩きながら、

 

f:id:tamasapuri:20211106220930j:image

 

視線を右手の空方向に向けると、

白い15階建くらいのビルが見える。

長方形の窓が整然と並び、道路沿いに

三角の整った植栽があるそこはホテルだ。

あたしの北海道への印象を

ガラッと変えてくれた場所なのだ。

 

今でこそ「北海道最高!」だなんだと

わあわあ騒いでいるあたしだが、

今年の3月までは、なんなら暖かい場所にしか

目が向いていなかった。興味がなかった。

寒いところはホント勘弁…な人間だったのだ。

 

だが当時、我が家の受験生は、

最後の最後の戦いを

土方歳三じゃないが北を選んだ。

 

なんかもう消え入りそうな雰囲気の息子の

あまりのヤバさに同行せざるを得ない状況。

もはや流された感有りや無しや…な

自暴自棄だった親子を救い、

"北国の人ってあったかい"を

じんわり沁みさせてくれたのが

そのホテルの人々だった。

 

最上階の北大が見える側の部屋。

受験生向けの手書きメッセージ付きの

ココアとお菓子。

ホッカイロやマスクまで。

コロナで夕食をホテルで提供出来ないからと

お勧めやら、アドバイスやら…。

付き添いでお疲れでしょうからと寒くない

買い物のお勧めルートを教えて頂いたり。

大きくて清潔なお風呂も

気持ち良かったなぁ…。

 

そんなことをふと今

思い出したのだ。

あの時は自分すら

これから先が見えなくて

なんでこうも上手くいかないのかな…って

息子以上に茫然自失とお先真っ暗のダブル。

 

でもホテルの皆さんの温かさのおかげで

息子だけじゃなく自分も北海道に縁を頂き

早いものでかれこれ半年。

 

この前、はやぶさ青函トンネルを抜け

久々に北海道へ渡った時に

"戻ってきた"という気持ちがして

なんだかじんわりしたのだ。

 

空や雲の色。

樹木の感じ。

土地の雰囲気。

殺風景にすら見える

ちょっと寂れた感じが

堪らなく好きだなぁ、と。

そして温まる、

イントネーション。

 

自分の思い通りいかず、

流されたおかげで今がある。

最高に楽しいって思えるのは、

あれを乗り越えたからなんだ。

 

きっかけをふと…

 

f:id:tamasapuri:20211106230902j:image

 

思い出したよ。