蒸し蒸しする夜風にのって
お囃子が聴こえてきた。
ギリギリの夏の日。
さっきまでのスコールが嘘みたいに晴れた夜。
今年見納めかもしれない盆踊りを
見ておかなきゃ、と…夕飯の片付けを終え
小さな公園へ。
しっかりと櫓が組まれ
威勢のいい太鼓と
揃いの浴衣が粋なお姉様方が盛り上げる。
周りには老若男女が集い踊り呑み交わす
懐かしの町内会の夏祭の風景があった。
マンションやお店が周りを囲う
こじんまりとした公園だから
風の通りはほぼ無い。
だからこそのソースの匂いや
焼き鳥の香ばしい煙が充満していて
記憶の底のあの夏の日が甦ってきた。
オレンジがかった提灯の哀愁漂う灯の色が
余計にタイムスリップ感を加速させてくれて
(そうそう、祭ってこうだったよなぁ…)と
懐かしさでニヤニヤしながら写真を撮る。
楽し気に踊るお年寄りの背中。
同窓会らしい若者達。
町内会の夏祭って
こうでなきゃ。
恒例のはずだった祭。
ブランクのおかげで
なんだかめちゃくちゃ愛おしかった。
今をちゃんと楽しんでおかなきゃ、なのだ。
#町内会夏祭