まさか、こんな事になるなんて。

 

突如、生春巻が食べたくなった。

 

ずいぶん前に買った、

カピカピした皮が

もうそろそろ終わりを告げる期限だったし。

断捨離で出てきてくれたし、

このまま別れたくはなかったのだ。

 

 

サラリーマンだった頃の、

作りたいなぁ…と、思って買った

遺産がたくさんあった。

 

「今こそ!」

 

生春巻を作る、って

乾燥した、カピカピ皮を

水につけて戻して

ビロビロになったら

海老とかきゅうりを巻けばいいんじゃね?

な雰囲気で作り始めた。

 

縁起良く8本作るか、と

カピカピを8枚出して

ぬるま湯に放流した。

 

その後、他の料理に目がいって

少しの間放置。

 

気づいた時には遅かった。

 

8枚全てくっついて

1枚1枚を剥がそうとしたら

どんどん無残な姿になるのだ。

(嘘だろ…)

今さらながら

生春巻の皮の袋の裏側を見る。

 

当然の如く、しかもちょい太めの字で

"1枚ずつ、少し硬めなくらいで引き上げて"

とある。

(書いてあるし。最初に読めよ!)

自分に素直にツッコミを入れ

さて、と考えた。

 

生春巻の皮の在庫はまだ有る。

だから、海老やきゅうり達は

無事に行き場がある。

が、このビロビロ、トロトロは…。

少し塊気味の白い皮を持って

暫し考えた。

 

材料は、タピオカと米粉…?!

 

タピオカならデザートじゃん。

で、味見して閃いた。

 

京都のあの名店の"くずきり"パクリで、

間違いなくイケる。

東京のあの名店の"くず餅"パクリもいいかも。

ゆるゆるくず餅風もイメージが湧いた。

幸い黒蜜はあるし、

微妙にきな粉も。

 

夕食後には

ビロビロの生春巻の皮を

1.5センチ巾くらいに切り

そこに黒蜜ときな粉をかけた

和風デザートを提供することに成功した。

抹茶をたてて、そりゃあもう…なくらい

高級感満載にしたのだ。

 

イチコロだったよ、家族は。

どうやって作ったの?なんて

質問まで飛んできた。

 

食材を無駄にしないで

良かった良かった。

めでたしめでたし…。

 

だけど本当におすすめな

リカバリースイーツだから是非!

 

いや、生春巻の皮は

1枚ずつ戻した方が良い、という話。

 

あ、ご存知でしたか。