かいたがかいたもの。

たまたまテレビをつけたら
日曜美術館で村山槐多の特集だった。


美術史の講義を思い出し
チャンネルを変える手が止まった。

夭折画家。
22歳の若さで亡くなったって。
今話題の八村塁くんは21歳で
NBAデビューだったな。

って訳の分からない比較をする自分に
つっこんだ。

いろいろな人生がある。

惚れたモデルに思いが通じず
千葉の海辺を彷徨う槐多。

だが、その絵には
スピードとテクニックと
愛がある。


槐多は自分の絵を見た全ての人が
幸せになるように、

"全日本の幸福をここに完成させる"

ことを思いながら絵を描いて
いたというのだ。


てっきり、
自分の愛が拒否られて
肺は病に侵されて
生の早仕舞いをするしかなかった
のではないか、と
勝手に同情していた自分を恥じた。


22歳の若さで
見た人が幸せになるように、と
脇目も振らず絵を描いていたのだ。


圧倒された。

充分に生き切ったんだ。


なんか、誤解が解けて
嬉しくなった。

槐多が描いたものは
単なる青臭い愛じゃない。
漏れて溢れて仕方ない
真っ直ぐな愛なのだ。