これにて、なんて言わないで。

横浜にぎわい座での
神田松之丞講談。

春から大学生として
第一歩を踏み出す子と
お邪魔した。

受験明け。
久々生松之丞に、
いい感じでの
リハビリだったと思う。


「自分を放っておいてくれた理由が
わかったよ。
これじゃ受験生どころじゃないね」


そうなんです。
受験生が居ようが居まいが
"どうぞお好きに頑張ってくれ"と
いい距離をとれるのだ。
松之丞講談をかじってしまうとね。


いろんな意味で
放っておいて欲しいのは
何を隠そうこっちだよ。


『万両婿』が『大石東下り』が。
松之丞さんの何役もが
生き生きと今日も熱くてね。
ずっとずっと聞いていたかった。


お時が可哀想だと思えばこその
再婚話だし。


旦那様が好き過ぎるから
あそこまで駄々をこねる
忠僕元助だし。


大石内蔵助の本懐。
知ってしまった本物の垣見左内。
自ら身を引き
内蔵助に道を開けるし。


誰もが誰かを放っておけない。
やっぱり人間
情だよなぁ…なんて
キラキラな観覧車を横目に
じんわり、ほっこり。
改めて人との繋がりを
大事にしたくなる夜だった。

新しい生活が始まる時に
何とも大事なことを
教わったね、と。



あれ、あたし
放っといて欲しいんじゃ
なかったっけ。