軍配は…

寄席がはねて
息子と
夜散歩をしながらの帰途。

ここら界隈は昔住んでいたエリア。
居るだけで、あっという間に
あの頃にもっていかれる。

「ここ覚えてる?」
「全然記憶にない」
「だよなぁ、鼻たらしてた頃だもんな」
「この店、まだやってるんだ」
「あ、懐かしの母校じゃん」

なんてことを喋りながら…。
夜桜見物にはまだちと早い。
が、いい感じの気候のせいだ。

成長期真っ只中の息子は、
小腹が空いたとコンビニへ。

商品を見ながら彼はやたらと喋る。
「こんなにいろいろあったらさ
一人暮らしも楽だよね」

「自炊なんか絶対しないね。
この値段で買えるんだもん、
自炊の方が高くつくよ」

「結婚しない人が増えるのも
なんかわかるね」

「ほんと、コンビニエンスだもん」

腹が減り過ぎて饒舌か。
いろいろあって目移りするハイさか。
…話は社会問題(そこまでじゃない)
にまで及んだ。

でも、最終的には"淋しさ"が募る。
ずっと一人でいるのは。
人が恋しくなりゃしないか、な。

なんて方向に。

そんな時には
こうやって寄席で笑うのも手だ。

今宵は待ってました!の
萬橘師匠と鯉八さんの二人会。

なんとも言えない空気感だ。
独特でいい。
だーれも置いていかない感じが
いい。

しかもだ。

トリの萬橘師匠の"子別れ"
なんか聞いちゃった日にゃ
やっぱり相方がいた方がなぁ…と。
一人は、やっぱり淋しいよなぁ。

血が繋がっていようがいまいが。
結婚していようが
そうでなかろうが。
人間だろうがなかろうが。

コンビニエンスよりも
やっぱし、、、。
相方、欲しいね。

だよなぁ。

久々にいい夜だった。