年末の風物詩

ここ下町は、夜7時半を回る頃
拍子木を打つ音と共に
おじさん達の声が聞こえる。

年末恒例の"火の用心"の夜回りだ。

子供らも「行きたい!」と
ついてくる。

集合場所の公園に着く。
テントの中からは
いい感じに出来上がったおじさん達の
笑い声が漏れている。

その中に、「こんばんは!」って
飛び込むと、
「寒いから甘酒飲んで
まずはあったまって」
なんて、
いい甘さの甘酒を頂く。

その日の当番が皆揃ったら
出発。

子供らも順番に木を打たせてくれる。

"かーん かーん かん かん

火の用心!!"

おじさん達と
たわいもない話をしながら
町内をくまなく巡る。

あそこんちの爺さん
死んじゃったな、とか

ここいつのまにか
さら地になってるね、

なんて今年の総括が
自然にできるのだ。

終わったら子供らには
袋に入ったお菓子がもらえる。

親にはすぐにあったまる
呑みものが振る舞われる。

いやいや、夜回りの間の
おじさん達とのお喋りで
充分あったまったよ。

またおいで!
気をつけて帰るんだよ!
おやすみ…

あー、全然寒くない。
心までホッコリする
下町の冬の話でした。