本日無事帰宅したのは
あたしの大切な大切な
器である。
この魚の惚れ惚れする線彫りといい、
海老の髭のダイナミックな感じといい
沖縄のやちむん好きの入り口になった
人間国宝、金城次郎氏の鉢なのである。
金城次郎氏に憧れて、氏がご存命な時に
図々しくも窯元にお邪魔をしてお話を伺い
譲っていただいた貴重な器。
お皿や鉢など数点を連れて帰り
この鉢は母のものとなった。
老いた母が、手元がふらついたか
バリバリに割ってしまったものを
治せるならあげるわ、と貰い受け
金継ぎ友人に依頼して約半年経過。
待ち焦がれた次郎鉢が戻ってきた。
ワクワクしながら包みを開け
この側面の仕上がりに驚愕。
想定外過ぎてゾクゾクしたのだ。
金継ぎなのに金で継いでいない。
漆の色が側面とマッチしていて
いい塩梅に仕上がっている。
反対に内側はむしろ金。
面白い紋様みたいになっていた。
割れた断面が粉々じゃなかったから
パズルみたいにやりやすかった、と
東京かえる堂の亭主の弁。
素晴らしい技とセンスで
あたしの宝物がひとつ、増えたのだ。
金継ぎの技と、友人に
感謝しかない七夕の夜。