たかが断捨離されど…

 

パンパンに膨れ上がった

ダンボール素材の

引き出し式モノ入れがある。

 

(いよいよこれに手をつけるか)

 

キシキシ言いながらもなんとか引っ張ると

いつからためたか、頂いた年賀状が

ぎゅうぎゅうに入っていた。

 

捨てるのが気が引けるから、と

ずっと取っておいたのだ。

が、今年の分が入らないから

昔のものは申し訳ないが

処分すると決めた。

 

でも、そのまま捨てたら

個人情報丸出しだ。

仕方ないが、

一枚ずつちいさくちぎる作戦に。

 

しかしながら

かなり厚手の葉書達。

暫くやっては痛くなってきた手首を

ぐるぐる。

また暫くやってはぐるぐる…

 

だが痛みよりも

懐かしい人

亡くなった親戚…の筆跡が、

懐かしくて懐かしくて…

 

(この人は、

確かこの年に亡くなっているから

これは、その数ヶ月前の筆跡か)

 

切なくて

なんとも言えない気持ちになった。

 

これを書いてくれた年末は

こんなに元気な文字なのに、

桜が散ると同じくらいに

突然逝った叔母を想い

人の終わりの不思議さを感じた。

 

命には限りがある。

確実に。

 

引き出しの整理をしながら

心の整理をしている自分に気づいた。