買い物しながら
うろついていた。
目的、と言えば
大袈裟だけど
決めたのはただ
わくわくする方角へ歩く、ってこと。
…なんて聞こえはいいが、
要は、昨日の食い過ぎを
少しでも無かったことにしたくてね。
空や光をチラチラ見ながら
年末の忙しいこのタイミングを
贅沢に過ごすのも悪くないよな、って。
ほどなく歩くと、
風格のある朱色が
目に飛び込んできた。
陽光を浴びて
その一角だけ輝いて見える。
入らない手はないな。
出世不動尊、とある。
わかりやすいし、
ありがた過ぎるネーミング。
"誘われた"と思える
超単純な性格で良かったよ。
瀧に打たれて座禅を組まれたように見える
未だかつて遭遇したことのないお不動様に
圧倒されて…
まだ"欲"街道まっしぐらとは！の
自分のあからさまな姿に照れながらも
「そうなんです」とあっさり認めると、
スッキリした心持ち。
気持ち良く先に進める気がした。
うん、確かに。
さっきからなんとも爽快なんだな。
