売れる理由。

 

講談えほんの出版記念で

講談会へ。

 

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場所は、その名も講談社

歴史を感じる社屋内の講堂が

その会場。

タイムスリップしたかのような

昭和な、いや大正、明治くらいな

学校の学の字が昔の"學"と

書きそうなくらいに古き良き香り漂う

小学校の講堂みたいな所で開催された。

 

講談社という社名だが、

社内では初の講談会だったのかな。

そんなことを感じさせる

事件が起きた。

 

松之丞さんが高座に上がると

座布団が逆である、とご本人が

指摘をされて、立って

自分で直しながら

今だかつてないマクラが始まった。

 

お客さん側に縫い目があっちゃ

ダメなのだ、と。

お客さんとの縁が切れるからね。

芸人はそんなことで

験を担ぐのだ、と。

 

ばあさん子のあたしは

座布団の上下は当たり前のことだった。

正面向きに縫い目が向いて

座布団を置こうものなら相当な勢いで

叱られたけど、

今座布団を並べることなんて

そうそう無いもんね。

 

今日は、若い社員が

セッティングされたのだろうか。

高座の座布団のことまで

気が回らなかったとみえる。

ま、知らないわな、普通。

 

だが松之丞さんがきっちりと

高座で指摘されたのだ。

まるで弟子に教え諭すように。

 

我々芸人は験を担ぐし

縁を大事にするから、と。

目の前のお客さんとの

縁を切らさないように

座布団の切れ目を相手側に出さない、

って。

小さなひとつひとつのことだけど

その積み重ねですから…。

 

もう、いきなりだ。

じーんとした。

なんて大事なことを

サラリと仰るのだ。

 

並べた人が

恥ずかしい思いをしないように、

芸人の心意気と座布団の話を

重ねて話す。

座布団の向きなんて、釈台があるから

客席からは見えないし、

知らない振りだって出来ただろう。

でもやはり、細かなひとつひとつを

いつもの通りにきちっと行い、

芸人とはこういうもの、を

さり気なくアピールされたのだ。

単なる個人のこだわりではない。

普通に大事なことを

チラリとマクラで

誰一人傷つけることなく話す。

 

今日の松之丞さんのマクラは

当たり前に大事なこと。

笑って受け流すやつじゃないのだ。

 

"小さなひとつひとつの積み重ね。"

 

験を担ぐ意味も勿論あるだろう。

だが、芯にきた。

あたしもそうなのだ。

さっきのあれや

今のこれが確実に

明日に繋がっているじゃないか。

小さなひとつひとつが、

自分の未来の種になっている。

 

もうのっけから

もってかれたよ、松之丞さんに。

 

で、このえほん。

子供達への種蒔きだと仰った。

 

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こういう講談師が監修したのだ。

面白いか面白くないか…は

買って読んだらわかるから。

 

で、あたしには

今日確実に撒かれたね、種。

 

えほんには、人として生きる

全ての教えが詰まっているんだよ。

やさしくね。

 

#神田松之丞

#講談えほん