あったかい夜。

 

風が違う。

虫の声のおかげか、気づいたら

すっかり季節が変わっている。

 

息子の文化祭をサクッと楽しんだ後に

駆けつけた、新宿末広亭

着いた時には桂米丸師匠の

穏やかな声が聞こえた。

 

まだお天道様は頭上なのに

既に大入り満員。

立ち見まで。

 

運良く2階の座敷におさまって、

これから始まる柳亭小痴楽さんの

真打披露口上に思いを馳せた。

 

落語素人のあたしには

初めての生口上。

やっと巡り会えた縁。

 

 

芸人さんの"情"が高座に、いや

末広亭中に満ちていて、

なんとも言えない空気感。

 

今をときめく大看板方が、

3代柳亭小痴楽の真打を祝い励まし、

落語をよろしく!って

黒紋付で頭を下げる。

想像以上のものだった。

 

 

鳴り止まない拍手。

じーんとする音。

しかも、

末広亭中の三本締めが

あったかくて、嬉しくて。

 

芸は、情。

 

今日わかった。

 

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